※とりあえず千蔵がバカップルです。
そして@以上に会話がセクハラです。
ヤってませんがR-18的な会話です。
ご注意ください。
その日は、朝からなんだかおかしかった。
「で、それはどないしたんや小石川」
「俺が聞きたい」
と小石川と謙也が見る先には、石田の巨体にしがみついてなにかに怯えた小動物のような体たらくの元部長。
引退して数ヶ月経つが二年部長を務めた過去は消えるわけはなく、その姿はやはり奇妙だ。
「白石ー…なにがあったか話してくれやいい加減」
「や、やって…千歳が」
「千歳が?」
「…………言いたいけど言いたない」
「さっきっからこれやねん。
千歳となんかあったんは確定やけど、なにされたかをいわんねん」
謙也も集まっている空き教室(部室にはもうなかなか集まれないので渡邊の許可をもらって私物化したという)の床に鞄を置くと、白石の前に回る。
そこにその千歳が来た。
「おーい、千歳ぇ。お前白石になにしたんほんま?」
「…まだ拗ねとーね……?」
「せやからなにがあったん」
「…いやなぁ。…師範、白石の口塞いどいてくれな」
言いかけて、白石に途中で邪魔されそうな気配を感じた千歳がそう言った。
「はぁ!? なんやそれ! ふざけんな千歳っ…」
勢いよく怒鳴りかけたも、白石の口があっさり、中に放り込まれたなにかによって封じられた。
「なに、白石の口ん中いれたん師範」
「いや、まさか本気で塞ぐわけにいかんしな…。金太郎はんにもらった特大のドングリ飴を…」
「ああ、あれでかいから口の中入ったら話せんわな」
「そして白石は性格上人からもらった食い物は粗末にせんし」
続き、と小石川が促す。
「俺ん部屋でな、盗聴器が見つかって」
「盗聴器!?」
「いや、多分前の住人につけたもんじゃなか、て。
で、外す筈が後に入ったんがこんなんやけん、外せんようなったみたいな」
「…ああ、お前相手は無理やんな」
「まあその通りやったけんど…」
「見つけたん?」
「成り行きで。そしたらそいつが前の住人用に録音してたテープに何故か俺が入ってからのが結構あって」
「…なんで?」
「……聞いたら全部白石とヤってた時のやけん、多分欲情したんじゃなか?
白石の声に」
「……ああ」
それで白石が嫌がったわけな。
「で」
「まだあるん?」
「それは全部預かって。…おもしろ半分に再生してたらヤってる時に」
言いかけてはた、と口を閉ざした千歳の口を背後からぐいーと引っ張って小石川が吐け、言いかけてやめるなと背中をつつく。
「…まあ、道具とかより俺がよか的な…会話があったけん…。使ってなかよ? ほんに。
ただ使った方がよか的なこつ言ったらそう言われただけで…。
それを言うたら白石が『そないアホなこと誰が言うか』て否定ばしたけん」
残っとうのに。
石田がなにか否定したいが口が開けなくてティッシュを探す間に千歳が言ってしまい、項垂れた白石の背中を撫でた。
「まあ、白石やから否定するやろなぁ…否定せざるをえん話題やし」
「や、で、でも俺もそれでキレてな? なんでテープで脅して本気で道具使ったらこの様たい」
「……使ったん。つか持ってたん!?」
「前の学校のダチがよこしただけたい。買ってなかよ」
「…で、全部にダメージ受けとるわけやな白石は」
「あんまりへこんどーから、テープは全部処分したとに…。
今度は『千歳がそんな使い道のあるものを全部処分するか。処分したならコピーくらいしたに決まってる』て…」
「…でも、それは疑うやろ。お前やし」
「どげん意味ね謙也…」
「いやまんまやろ」
「俺かて、そげんもんは二度と聞きたくなかよ?」
「なんで?」
「そのテープ、毎回録ってたてこつはその野郎の自慰にも使われたんやろ。
白石の声が。俺が鳴かしとう声が。俺しか聞いてなかと思っとったもんが。
…白石を辱められた気分やけん聞きたくなかよ」
「…割とご立腹やろお前」
「相当に。白石には伝わり難いけど」
「白石、機嫌直せ。千歳も千歳なりに怒ってるらしいし」
「……むか」
「へ?」
「…あんなことが付属してなかったらへこむか!」
ようやく飴を処理したらしい白石がようやくそういう意味やないと口を開いた。
「…なにが付属しとったん?」
「……その道具使われた時のが別の盗聴器に拾われて他のヤツに筒抜けやったって付属」
「は?」
あからさまに低い声で眉を顰めたのは千歳で、その声の低さに謙也達も驚いた。
後ずさりかける。
「いや、俺の服についてた盗聴器やから、そいつは最初から俺が目的やったわけやけど」
「誰?」
「既に始末したし。やけど情けないわ恥ずかしいわでへこんだって罰あたらんやろが」
「誰」
「…千歳がキレた」
「高等部の杉本っちゅー元テニス部の先輩……聞いてへんなあれ」
「ないな」
白石が言い終わる前に教室からいなくなった千歳を見送って、白石はまあええんやけどもう、と一言。
「ええん?」
「やって、あれ(千歳)はどうみたかて男として不能にしてくるくらいやってくるんちゃうん?
あれ見たらもうよくなるわ」
「ああ、確かにな」
「せやけど、白石てどんな声で鳴くん?」
「…それ、聞かれるとえらい困るけど。謙也、取り敢えずそんなこと千歳に聞かれたらまずい思うわ」
「…そやな。忘れて」
「うん」