歪ん だ 北 極 星 −デビル・ポーラスター
第三章−【貝悲雫−ノームウィッチの章−】
−遅れて来た魔女編−
『よう、最近ぶりだな。サンダーウィッチと、その子飼い連中』 「跡部…!?」 「縁取りが桜…ってことは西方国家〈ドール〉国内からの通信。 西方国家〈ドール〉に帰ってたのか…」 『まあな。フリーズウィッチには、フリーズウィッチのみの役目があるってこった。 …千歳と白石不在ってことは』 跡部が口をあげ、数式の答えのように言う。 『消滅したな、白石は』 「跡部、お前…!」 『本当のことだろあーん? おまけに木手までみすみす対を殺されたそうじゃねえか。 迂闊なんだ、お前は』 「跡部…!!!」 「平古場クン、いい。…ご用件は? まさか、嫌味を言いに通信を繋いだわけじゃないでしょう?」 『まさか。そこまで趣味悪かねえ。 南方国家〈パール〉を破る秘術だが、白石がいないんじゃ破れねえ。 幸村は婚姻の王族だからな』 「…策が、おありだと?」 『ある』 「…なんだ?」 手塚が席を立ち、画面の近くに立つ。 『いるだろ、“白石”が』 「…跡部……? 白石は、死んだんですよ…?」 木手が思わず敬称を忘れて呼んだ。 『白石蔵ノ介は消滅した。それで千歳は無様に五大魔女の任も忘れて暴走したらしいが』 「跡部あんたな…!」 赤也が思わず食ってかかったのを、柳が止める。 「柳さん…!?」 「跡部には策がある。なんらかの。全て聞いてからでも遅くないぞ。怒るのはな」 「……」 『立海は血の気が多いやつばっかだな』 「氷帝も言えた様ではないぞ」 『まあな。で、白石が死んだ、ってとこまで話したな』 「……」 『白石は対を失ったが故に死んだ。…間違いないんだな?』 「くどいぞ。そうだ、と言っている」 『じゃあ、万一にも、怪我で死んだわけじゃねえんだな?』 「…ああ」 『なら問題ない』 はっきりした声に、柳も心底いぶかしんで名を呼ぶ。 『それなら、白石は黄泉比良坂を帰って来れるわけだ』 「……ヨモツ、ヒラサカ…?」 「黄泉路から現世への道のことだが…。イザナギノミコトとイザナミノミコトの。 …跡部、どういう意味だ」 『怪我や、病死じゃねえ対の喪失による消滅なら、蘇生方法がある…って言ってんだよ』 「…、本当、か?」 誰も言葉を失った。かろうじて、柳が言う。 『ああ。消滅した場に青い結晶が落ちただろう? あれさえ砕けてなければな』 「あ、ああ! 無事だ。ある」 『なら問題ない。おい手塚、乾も消滅したんだろ。結晶は無事だな?』 「…ああ」 『なら乾にも黄泉比良坂を戻ってもらう』 「…本当に、…助けられるんだな?」 『ああ。…お前ら、俺がなんで住処のある西方国家〈ドール〉をしょっちゅう留守にすると思ってたんだ? 木手の時にしろ、東方国家〈ベール〉の時にしろ、そんな都合よく助けに行けるかよ。 俺様はそんな暇人じゃねえ、あれは本当の通りすがりだ』 「…なんのために?」 『…対を失って消滅した北極星還りを蘇生するために、そいつらの結晶を受け取りに、だ。 蘇生出来る場所は西方国家〈ドール〉にしかねえからな。 あと、それは代々フリーズウィッチの役目らしいぜ? 俺は先代の野郎に任されたんだ。…その様子だと、先代フレイムウィッチと先代サンダーウィッチは話してなかったな…?』 「…あ、はい、聞いてません」 『ったく…。とにかく、結晶を大事にしておけ。 そんで西方国家〈ドール〉に来い。ただ…』 「ただ?」 『三日だけ待て。蘇生方法も蘇生場所も俺様しか知らねえ。 …いや、もう一人いたが。 とにかく、俺が今から三日手が放せない。 千歳を考えりゃ、急ぎたいだろうが我慢しな。 俺も南方国家〈パール〉対策で忙しい』 「…また、南で動きが?」 『そうじゃない。南方国家〈パール〉で消滅した北極星還りの結晶回収に三日かかんだよ。 南方国家〈パール〉国内に俺の先代がいるんでな。なんとかなるだけだ。 だが、南方国家〈パール〉を崩すことは出来ねえからそれは期待すんな』 「いえ、そこまで期待はしてません」 『そうか。あと、木手。お前は黄泉比良坂を戻る必要がねえと言っておく。 なんか壮大な勘違いをしてるみてえだからな』 「………かん、ちがい?」 『お前は対を失った。だがお前だけは消滅しねえ、って話だ』 「え!?」 甲斐が声をあげたが、立ち上がったのは平古場たちもだった。 『北極星還りが消滅する理由は、対を失って存在を世界に繋げなくなったからだ。 だが、五大魔女や元五大魔女は精霊によって寿命なんかで死ぬまで存在を繋がれる。 だから、対をなくそうが消滅しねえんだ。五大魔女はな。 つまり、現サンダーウィッチの木手に心配はいらねえって話だ』 「……本当に…」 「よ、よかった…!」 安堵のあまり床に座り込んだ甲斐を、ぽんと赤也の手が撫でた。 『ただ、副作用ばっかりは一生の付き合いだ。それは我慢しな』 「…はい」 「副作用?」 『大したことじゃねえよ。対を失った五大魔女は魔力消費が早くなるから、対がいた時のように魔法を使ってるとすぐ魔力切れを起こすってだけの話だ』 「なんだ…」 ほっとした甲斐の背後、同じく安堵の息を吐いた平古場の横で知念だけが軽く下を見た。 『わかったら千歳に教えてやれ。早くな』 「あ、俺行ってくる!」 「あ、甲斐さん俺も!」 甲斐と赤也が飛び出していった。 『で、ちょっと木手に話がある。 他のヤツ、席を外してくれ』 「…わかった。通信は切らないでくれ」 『ああ』 手塚に促され、木手を除く皆が部屋を後にする。そこに声がかかる。 『待て、知念だったな。そいつはここに残れ』 「え、なんで知念だけ」 『知念が木手の懐刀なんだろ? 木手以外にも一人は知ってるヤツが欲しいだけだ』 「だとよ、知念」 「ああ。わかった。またあとで」 「ああ」 最後の平古場が退室して、静かになった室内。 跡部はしばらく沈黙したが、すぐ知念に視線を移した。 『…それを餌にしたんだな』 「わかる、んですか」 『他のヤツはわからねえが、五大魔女にはわかるんだよ。 魔女の餌になったヤツのオーラがな』 「…」 『安心しろ。他のヤツには言わない』 「…はい」 『木手、対を失った五大魔女の副作用は、まだ全て明らかになってない。 他もあるかもしれねえ。 だから、一つでも、どんな些細でもいい。 いつもと違う違和感を感じたら、すぐ誰かに言え。 溜め込んでいいことはない。いいな?』 「…はい」 『よし。……佐伯は見た感じ、お前のような吸血衝動の副作用は起こってないみてえだが』 「…佐伯、クン…も?」 『ああ、あいつも対を失ってかなり経つ筈だ。 あと、…お前の対を殺した平古場の対だが…、奇妙な話になってる』 「…なにか、わかったと?」 『あの二人、生まれた時から一緒にいた幼馴染みで親友らしい。 だが、一ヶ月程度前、二人してウィッチの資質をかわれ、ある国に雇われてから、一切の消息を絶った。 次に人前に現れたのは、お前が見た、お前の対を殺す姿』 「…」 『まず殺す殺されるの間柄じゃねえ。…多分、平古場の対は操られたかして殺させられたんだ。だから、注意しろ。 万一洗脳が解けたら、平古場の対は自分で死ぬかもしれない。 イヤならその前に魔法で見つけろ』 「…わかりました。…その、国って」 『…わかるだろ? 南方国家〈パール〉だ』 「矢張り…」 『まあ、あとは特にない。それだけだ』 「…はい、じゃあみなを呼んで来ます」 『ああ。ただ、ちょっと十分だけ知念と二人きりにしろ。 お前の餌として、知っておかなきゃなんねえことがあるだけだ』 「……」 木手は一瞬案じるように知念を見遣り、はいと頷いて部屋を出た。 『知念、お前、どうだった?』 「なにがだ?」 『とぼけるな。木手に血を吸われて、どうだったって聞いてる』 「…あれから、三回は行われたが、別に問題はない。 貧血にもならないしな」 その言葉に、通信の向こう、跡部が矢張りな、と嘆息した。 「跡部?」 『知念、お前、血を吸われているのが、自分だけだ、と思ってないか?』 「…違うのか?」 『木手にされているのは、お前だけだ。 だが、…理解しろ。木手も、…あいつも首筋に牙を立てられ、血をすすられている。 …顔無しの化け物にな』 「なん、だって…?」 『五大魔女の飢えを、魔力を得るための吸血は、相当血を必要とする。 普通、吸血の後は立っていられないくらい貧血がひどいのが普通だ。 だが、魔女の餌は、死なれたら困る。魔女を世界が欲しているからな。 だから、吸血を行った魔女の元には、夜が明ける前に顔無しの化け物が訪れ、その首筋に牙を立て、餌から…お前から奪った分だけの血を貪っていかれる。 その血は、餌となった人間、お前の体内に戻るんだ。 なんせ、顔無しの化け物は…お前自身の影だからな』 「…な、に」 『そういうルールなんだよ。 餌が死なないために。吸血で得た魔力は奪われないが、吸血で餌から奪った血液だけは化け物に吸われ、奪われお前の元に化け物が戻す。 その化け物は姿がない。魔女にしか見えない。 だから、お前はどうこう出来ない。 木手が血を欲する限り、木手も同じ報いを受ける。 それだけは理解しろ。 化け物の噛み跡は目立たないが、吸血の後に木手の首をよく見てみるんだな。 うっすらとだろうが、牙の噛み跡があるぜ』 「…永四郎、は言わなかった」 『その理由、お前は充分過ぎるほどわかってんだろ』 「……」 『それから、あいつを守れ。これからな』 「言われなくても、守る」 『南方国家〈パール〉からじゃねえよ。 …“閑”からだ』 「シズカ…?」 『この世界に住む、人の魔力を食事にして生きる異種族。 “閑一族”…そいつらは魔力の高い人間の血を好む。 特に、餌を必要とするようになった、五大魔女をな。 木手は奴らのいい獲物になるだろう。 五大魔女で、お前という餌を必要としている』 「……当たり前だ。守る」 『生半可じゃ守れないぞ。閑一族は魔力を奪う。 奴らの前じゃほとんどの魔法は意味をなさない。 …そもそも、何故この世界はほとんどのウィッチを失ったと思う。 …奴ら“閑一族”の所為だ。 奴らが人間から魔力を奪う。故に、ウィッチの資質を持つ人間は減り続け、今となってはごく数人の人間を除き、この世界にウィッチは存在しない』 「…待て。少なくとも、約四十人近く、いると」 『数人を除くほとんどのウィッチは閑一族がいない世界の人間。 つまり、北極星還りだ。 今世界にいるウィッチのほぼ全てが、北極星還りなんだ。 だからこそ、木手は閑一族に狙われる。 奪われていない世界で育った、高く、豊満な魔力を持つ五大魔女。 …気をつけろ。もし、木手の首筋に深い噛み跡を見たら…それは閑の仕業だ。 木手には、閑を拒絶出来ない』 「…何故だ」 『閑は獲物を狙う時、魂までもその魔女の餌になりきる能力がある。 その間に閑を殺せば、その傷は餌のお前に全て返る。 だから、木手は閑に血を貪られても、抵抗出来ない。 お前を害したくない故にな』 「…………」 『話はこれで終わりだ。比嘉の連中には話していいが、他は控えろ。 いいな』 知念はうつむき、かろうじて頷いた。 『じゃあ、他の連中を呼んで来い。手塚はまだ俺に用があるだろうからな』 その言葉が届く瞬間、扉が開いた。 「もう、十分経ったと思いますが、いいですか?」 「…永四郎…!」 駆け寄った知念が、そのシャツをはだけさせて首筋をなぞる。 一瞬彼が身を震わせたことが、答え。 「永四郎…お前何故言わなかった…お前も…血を俺に貪られているって…!」 「…俺は…」 「なんでだ…」 「…俺だって、そんな落とし穴知りませんでした…! でも、知念クンが言ったんです…。 一緒に、一番許されないことをしようって…! 俺も、同罪でしょう…!?」 「……っ」 きつく、細い身体を抱き締めた。 守れない。 守りたいと願っても、傷は腕をすり抜けてこいつを掠める。 苦しい。 いつになったら、こいつは苦しまず生きていける…? 「……永四郎…」 『知念、木手が化け物に血を奪われない方法が一つある』 「…跡部…! 本当か…?」 『ああ、それは一つ。 お前自身が、木手に血を奪われた後、お前の牙を木手の首筋に突き立てて血を貪れ。 それが、唯一の方法だ』 「………っ」 『木手も、顔無しの化け物にやられるより、恐ろしくないだろう』 「……知念クン、知念クンは言いました。 一緒に一番許されないことをしようと。 なら、知念クンも俺の首に噛みついて、貪ってください…。 あなたなら、怖くない」 「…永四郎…!」 痛い程、抱き締める。足りない。全然足りない、お前の、温もり。 「…一緒に、一番許されないことを、してください…」 「…………、ああ」 頷く以外、出来る筈がない。 少しでも、傷付けたくない。守りたい。 そのために、自分が選ぶしかないんだ。 木手の首筋に、牙を突き立て、血を貪る行為を行うことを。 「…永四郎」 か細く呼んで、木手を抱き締める知念の姿を、ようやく室内を伺った平古場が、全く聞いていなかったのだろう、意味がわからず眉を寄せた。 「あ、」 零れた声に、前方を歩いていた少年が“どうしたんすか?”と振り返る。 「…ううんー。俺、得手風がよかったなぁー…って」 にへ、と笑って言った魔女に、もう一人の魔女は呆れた。 「だって、移動楽じゃない。木手いいなぁ」 「んなことほざくなら土で動く馬のゴーレムでも作ったらどうっスか佐伯さん…」 「あ、そっか。頭いいね財前ッ! 流石四天宝寺の天才」 「嬉しくないっスわ」 「でも安心した」 「…?」 「白石のことで、もっと落ち込んでると思ったから」 気遣う笑顔で言われて、財前は少し俯いた。 「へこんでますよ。でも、蘇生方法あるんですから、へこむ暇あるなら、そっちに力尽くして早く会いに行く。その方が現実的ですわ」 「そっか」 腕組みして笑った佐伯が次の瞬間いぶかしんだ顔を向けた。 「どうしたの?」 足を止めた財前に向かってだ。財前は森の木陰を睨んで、“誰や”と言った。 その木陰から一人の男が顔を出した。 「そない怖い顔すんなや魔女の青少年。モテへんで?」 「……」 「誰?」 絶句した財前に佐伯が問う。 「ああ、俺は」 「渡邊先生…?」 「ん? ああ、そっか。お前の世界の俺は、お前や東方国家〈ベール〉殿下の教師やった、って甥っ子が言うてたわ」 「……ってことは」 「俺は渡邊オサムに違いないけど、この世界のや。 北方国家〈ジール〉の鬼籍王弟〈レーヌプリンス〉の父、先代王の弟。 ま、今の陛下の叔父上、や」 「……ご丁寧に出迎えっスか?」 「まあな。そこに馬車待たせてある。 はよ乗れ。遅れてついてきてるノームウィッチの青少年のツレと二人の復讐王も一緒にな」 「…お見通し。…こっちの先生も、得体しれへんわ」 呟いた財前の視線の向こう、渡邊がふかした煙草の煙が上った。 扉を叩くが、矢張り返事はない。 「…千歳さん、あの」 赤也の声にも、甲斐の声にも。 「…千歳! 本当に白石を助けられるんだよ! だから、出て来いよ!」 扉の向こうから、帰るのは静寂だけだった。 「……虫のいい慰めだと、思ってんのかな」 「…無理ねえよ。その瞬間見ちまったら」 「千歳さん、本当なんです! あの結晶が無事なら! 千歳さんだってわかったでしょ!? 白石さんは結晶だけになっても千歳さんのこと守ったって! 生きてるってことじゃないですか!」 “…だけん、帰って来るって言うと?” 向こうから初めて返った声に、顔を見合わせて“そうだ”と言いかけた。 “随分都合よか話たい…。どうせ、俺が魔女やからとやろ” 「…千歳」 「千歳さん、本当に…」 心配せんでも死のうとは思わんから、と、一人にしろ、と紡がれて胸が悲しみに満ちる。 やっぱり、駄目だ。白石、お前じゃなきゃ。 甲斐がそう俯いた瞬間。 「ホンマや」 響いた高い声。 いつの間にか二人の間に立っていたのは、ここにいない筈の小柄な少年。 「え…」 「お、まえ…?」 「ホンマや。…白石、帰ってくる」 “………” 向こうから聞こえた声。 間違えようがない。 けれど、まさか。 千歳はおそるおそる、扉の向こうに声をかける。 「そん、声…」 「…なぁ、ワイの言葉まで疑うん? 千歳…? 千歳やんか。ワイに、嘘ついたらあかんって、教えてくれたん…。 その千歳が、ワイが千歳に、白石のことで嘘つく思うんか…? ワイ、…そんなんイヤや、ワイ哀しい。 …ワイ、また白石に会いたい。千歳に会いたい。 …二人に、“金太郎”って呼んで欲しいんや…」 “金…ちゃん…” 「なぁ、呼んで? ワイのこと。 なぁ、聞いて? ワイの話。 話したいこと、一杯あるんや。 一杯、いっぱいや。 なぁ…聞いて、ワイの声…。 …ワイ、まだ白石にさいなら言うてない。 白石言うたもん。本当のお別れの時はどんなに辛くてもさいならって言わなあかんよって。 白石、千歳にさいなら言うたん? 言ってないやろ? 白石、嘘つかへん。 絶対つかへん。 やから、白石帰ってくる。 ワイ、白石にさいなら言ってへん。 やから、白石帰ってくる。 ワイ、白石にも、千歳にもさいならなんて一生言わへん。 …やから……」 靴音が扉の向こうから近づく。 扉が、きい、と開いた。 覗く、大きな身体。 「…やから、聞いて…ワイの話……。 なぁ…千歳……聞いて」 「…っ」 その巨躯がしゃがみ込んで、小さな赤い髪を抱き締めた。 「金ちゃん…!」 「…千歳…」 「…ほんなこつね? 俺、金ちゃんの言葉、信じてよかね?」 「…うん。ワイ、千歳に嘘つかへんもん!」 「…うん。……大好きや、金ちゃん…」 「ワイも、千歳と白石、…大好きや」 寄り添い合う二人に、甲斐と赤也は笑いながら溜息。 仕方ない、という顔。 何故四天宝寺のルーキーがここにいるのか、問うのは後にしておこう。 取り敢えず、天の岩戸は開いたのだから。 |