今宵、月が見えなくとも 永久に、月が見えずとも

手を伸ばして欲するのだ

月を隠す雲を憎んで 月を隠す太陽を呪って

手に届かない月を欲して泣くのだ

狂った太陽が月を傷付けたから

隠れたキミを雲の切れ間からひたすらに待つ

目覚めたらキミがいればいい

気付いたらキミが笑えばいい

それは夢だとどうか笑ってくれないか

キミがもう一度、冥府に降ったなんてたちの悪い夢と笑ってくれ

夢じゃないのなら今度は本当の黄泉を降ろう

キミを追っていこう

手を引いて、キミの顔にも逃げないで

イザナギとイザナミじゃないから 笑うから

そして繰り返し、キミに告げよう


かきむしってキミを濁らせた

けれど、―――――――俺はキミを愛している








真昼に星は見えるか?
−歪んだ北極星U
第五章−【黄泉へと降れ−冥府の章−】