「お前に殺されたい」
雪のように吹雪く桜の下、彼が微笑んで俺に愛を告げた。
生まれた日を喜べばいいのか。
死ぬ日を悲しめばいいのか。
彼の誕生日は、彼の命日。
彼が生まれた時に、死ぬ日と決められた日。
俺は約束した。
彼は泣くように喜んだ。
カレが、言った。
「お前まで、諦めないでくれ」
本当は諦められる筈がなかった。
彼が生きることを。
彼と一緒に死んで構わない。
だから、一緒に生きたかった。
桜が散る。
桜は彼の涙だから。
彼が泣くから散る、桜の花弁。
死罪−黄泉路の櫻の雪の中で
死ぬことが定めだとしても、俺は彼を愛したんだ